仕事などで成果を上げているにもかかわらず自己評価が低く、人から褒められてもそれを受け入れられない心の状態を、インポスター症候群といいます。
近年、インポスター症候群に悩む日本女性が増えているとされており、看護師にも多いといわれています。
インポスター症候群という言葉は、1978年に心理学者のポーリン・クランス氏とスザンヌ・アイムス氏が「インポスター症候群」と名付けた著書を出版したのが始まりです。
インポスター症候群の研究の始まりは、両氏が優れた実績を持つ女性150人に実施したインタビュー調査でした。彼らがインタビューをした女性の多くが「私が成功したのは、たまたま運に恵まれただけ」「みんなは私を誤解している。まわりが評価するほど私は能力があるわけではない」と回答していることが明らかになりました。
このことに興味を抱いた彼らは、このような心理傾向に関する研究を進め、インポスター症候群に関するさまざまな成果を上げたのです。研究が進むにつれて、女性に多い症状ではあるものの、男性もこのような心理状態に陥ること、有色人種などマイノリティが陥りやすいことなども明らかになっています。
また、アメリカでは、有名俳優や最高裁判所の所長、作家など多くの有名人が「私はインポスター症候群である」と述べており、より広く存在が知られるようになりました。
インポスター症候群は、精神的な疾患ではありません。しかし、仕事に影響を及ぼすことが多く、症状が進むとうつ病などの疾患を引き起こすこともあります。さらには、女性が陥りやすい心理傾向であることから、女性の社会進出を阻む要因になるとも指摘されているのです。